11月になりましたね。
最近は暖かいので、ここ芦屋では11月になってもまだ室内は半袖で過ごせます。
四万十は寒くなってきたようですが。
小さな奇跡を起こしたという話を、少し前の記事に書いたので、今日はその話を書きます。
芦屋の家に入居が決まったとき、不動産会社の方に言われました。
『おすまいになられるところは、ちょっとご近所がうるさいとこなので、すぐに、一軒一軒ご挨拶に行かれてください。必ずすぐに行ってください』
私が住むマンションは敷地は広いのですが、家が4軒しかありません。私がこのマンションに決めたのも、マンションという名前の、実際は完全独立した一戸建てだったからで、上下階やお隣りに気をつかわなくて済むだろうと思ったからです。
でも、しつこいくらいに念を押す不動産会社の担当者の言葉に、嫌な予感がよぎりました。
入居して数日が経った頃、敷地内に我が家の犬が糞をして、それを放置しているという誤解を受けて、管理不動産会社の担当者が呼ばれました。
このマンションにはずっと前から住んでいる家があって、そこのおばあさんには、大家さんも不動産会社の方も何も言えないようでした。
いくらうちではありませんと言っても、信じてもらえず、このおばあさんからは、非常識極まりないと一方的に叱られました。
さらに、このマンションにはネット当番なるものがあるということも、入居後に知らされました。燃えるごみの回収日には、カラスよけのネットを早朝か前夜にごみ回収場所に出しにいき、当日10時くらいに回収に来たら、速やかにネットを片付け、きちんとたたんで箱に戻さないといけないというのです。このマンションには管理人がいなかったので、おばあさんが当番を発案し、以降ずっと踏襲されて来た不動産会社も知らないルールでした。
ネット当番を四世帯で一ヶ月ごとに回しているので、年に三ヵ月はネット当番が回ってきます。この月だけは、何があっても月曜日と木曜日の10時にはネット回収をしなくてはいけない為、これを念頭に他の用事のスケジュールを組むことになります。回収が遅れたり、忘れたりすると非難されてしまうからです。
おばあさんには何度も交渉しました。こんな当番があると仕事をすることもできず、その日の朝は用事もいれられないと。そんなときは、よその方と代わってもらえばいいんですの一点張りでまったく受け付けてもらえませんでした。
雨が降り出したら、ピンポンと呼び鈴がなり、留守番をしていた子どもがインターホンででると、雨が降っていますよ、洗濯物がぬれますよ、お気づきにならないようだからお知らせにきました。お母様はいらっしゃらないの?まあ、天気予報ご存知なかったのね、と言う感じで、雨が降ったり、夕方いつまでも干していると、必ず知らせてくれるのですが、それが逆に子供たちのストレスにもなってきて、とうとう背の高いラティスを何枚も購入して、ルーフバルコニーを外から見えないように囲ってしまいました。
四世帯しかないので、どこかが引っ越してしまうと、次の方が入るまでは残っている軒数でネット当番を回さなくてはいけなくなるので、さらに大変です。私は、ちょっとおばあさんノイローゼ、ネット当番ノイローゼになりかけていました。
非難されても、おかしいと思う制度なら、当番を拒否すればいいとも考えましたが、うちが当番をやらないと、他の家に迷惑がかかるので、私としてはそれも出来ずにいました。他の家の方に相談しても、おばあさんがあまりに強すぎるので仕方ないと言う雰囲気でしたので、なかなか解決できませんでした。
10月の芦屋のワークショップで、参加者の方が、いつも自分は怖い上司の下で働くことになってしまう、、、というお話がありました。それに対して、それは自分が怖い上司が来るんじゃないかという恐怖心がそういう現実を引き寄せているのではないかと答えましたが、そう答えながら、ああ、私もまさにそうだな・・・と心の中で思っていました。
私にとって、おばあさんは、私が苦手な「世間」の代名詞だったのです。
いつもきちんとすることを求められるような気がして、そうできない自分を責められるのではないかと思っている自分が心の奥にいました。
まず、おばあさんに対して愛と感謝の気持ちを抱くようにしました。きっと、これまで私を気遣ってくれたんでしょう。マンションの住人にとって良かれと思ってやってくださったのでしょう。ありがとうございました。その任をもう解いて楽になってくださっていいんですよ、と。
そして、三週間後のごみ出し日。
ゴミを出しに行くと、お隣りの奥さんとばったり会いました。
なんと、そこに、おばあさんの息子さんと最近結婚されたお嫁さんもゴミを持ってきました。
会釈しかしたことがなかったのですが、お義母さまを最近お見かけしませんがお元気ですか?と話しかけて見ました。
すると、義母は、田舎に良い家を見つけて買ったので、この間、引っ越していきましたというではないですか。
おばあさんはこのマンションに息子さんと昔から住んで来られ、マンションの隣にはもう一人の息子さんの家があるので、私は子どもや孫といられて幸せなのと話していらっしゃったのです。
ところが、なぜ急に引っ越されたのでしょう?
最近、足が悪くなって、どこに行くにも坂道を登って帰ってこないといけないこの場所がしんどくなっていたところに、田舎に住む友人に紹介された家が気に入って、そこに引っ越していかれたとか。
マンションの敷地内の土地を畑にしたり、あちこちに花を植えていたので、田舎では好きな畑仕事をして元気に友人と暮らし始められたとのことです。
その場で、そのお二人に『ネット当番、大変じゃないですか?』ときいてみました。すると、お二人とも、実はずっと負担に思っていたとのこと。『じゃあ、今日をもってネット当番はやめにしませんか?これからは、気がついた人がネットを出してしまいましょう』と。みんな大喜びでした。
おばあさんも、田舎で活き活きと暮らしていらっしゃるようですし、私たちもみんなネット当番ノイローゼから解放されて、全ての人にとって◎な解決になりました。
これは、私にとっては小さいようで結構、大きな奇跡だったのです。
恐怖を捨てること。恐怖を捨てる鍵は愛にあることを改めて体験しました。
でも、実は、来年の春、息子が東京に行ってしまったら、ネット当番月は、私がずっと芦屋の家にいなくていけなくなる、そうすると四万十に行けない期間が年に三ヶ月も!それは困るから、それまでにどうにかしてください!と神に祈ったことも効果的だったのではと思っています。
みなさんに、何かのご参考になればと思い、書いてみました。
芦屋の自宅