今日の午後、ふと思いついて、前から行ってみたかった里川という場所に行ってきました。里川は、『にほんの里100選』に選ばれた地区で、四万十川支流域の山間に位置し、急斜面にへばりついた石垣が魅力的な集落。谷あいを一望できる隠れ里です。
地元の人からも、地区全体がすり鉢状になっていて、棚田が美しい里だと聞いていたので、ずっと行ってみたいと思っていたのですが、なんとharuさんが勤める店のおかみさん(せいこさん)が里川出身で、今では誰も住まなくなった実家を管理し、その周りにある田畑を、通いながらずっと守っているとのこと。今日は、その家を訪ねることにしました。
『今日は開いているので、勝手にあがって見てええよ』とのお許しをいただいて・・・。
thinkPlanetから車で20分ほど南下し、四万十川を渡って山の中をどんどん走っていきます。途中に家が1軒もないので、少し不安になってきますが、『里川→』の看板が時々出てくるので、迷うことはありません。
里川に着くと、本当にすり鉢のような集落でした。
すり鉢の底の部分にある田んぼ。ここもせいこさんの田んぼです。
すでに稲刈りが終わって天日干ししてありました。
田んぼの奥の上のほうに見える家が、せいこさんの実家です。
坂道を車でどんどん上がっていくと、ここにもせいこさんの家の田んぼがありました。すでに稲刈りが終わっているところと、まだ終わっていない田んぼがあります。
今日は、せいこさんのだんなさんと高校生のお孫さんの2人で稲刈りをしていました。挨拶をして通り抜け(汗)、突き当たりの丘の上の実家に向かいます。
せいこさんの家から見渡す里川の景色。
せいこさんの生家は、里川で「一番いい場所」にあるそうで、日当たりのよい南斜面の高いところにありました。
ここに立って思ったことは、こんなに美しい場所で育ったら、心が綺麗になるしかないよなぁ!
そう、せいこさんは、まさに「愛」を人間にしたような人。欲がなく、ただひたすらに優しい人なのです。
すぐ下の田んぼ。谷底の田んぼとは別。山の上にもせいこさんちの田んぼが何枚もあるのです。
せいこさんの生家に上がらせていただくと、今でも普通に生活が営まれているかのように感じました。
今では亡くなられたせいこさんのご家族の遺影が並び、同じ部屋にずらりとせいこさんの賞状や卒業証書が飾られていて、せいこさんがこの家でどれほど大切に育てられてきたのかがわかりました。
こんな山奥の静かな集落の一軒に、かつて笑いあり涙ありの温かい家庭があり、農を中心とした人の暮らしと人生が、確かにあったのだと胸が熱くなりました。
今は亡きせいこさんのお父さんが建てた納屋、苦労して山の上から引いてきたという山水の水道、花が大好きだったというお母さんが育てていた花畑。そのお二人は、もうこの世にはいないけど、どんな方たちで、どのような思いでここに暮らしてきたかが伝わってくるようでした。目を閉じると、2人の宝物だった幼いせいこさんが笑いながら、私の目の前を駆けて行くように思えました。
家の周りに積まれた石垣。きっとこれもお父さんとお母さんが積んだのでしょうね。それに沿う小道も。
樹木がトンネルのようになったこの道にも、かつての家族の姿を見る思いでした。
その小道の脇にある小さな畑では、今でもせいこさんが色々な野菜を無農薬で育てています。
これは、カワラケツメイ(この辺りではきし豆と呼ぶ)。
せいこさんは、雑草と一緒に育てることにこだわっています。すると、雑草がきし豆を支えてくれるのだそうです。育てるものは、無農薬にこだわり、感謝しながら手摘みをして、天日干しをするのだとか。先日、淹れていただいたこのお茶は、とても香ばしいお茶でした。
せいこさんのきし豆茶、少ししか取れないし手もかかるけど、よかったらシンクプラネットにも分けてもらって希望する方がいたら売ってくれますか?とお願いしてきました。
カワラケツメイは、弘法大使が伝えたことから「弘法茶」とも呼ばれているそうです。
調べてみると、ノンカフェイン、豊富なポリフェノール、整腸、利尿作用、脂肪の吸収を抑える働きがあるそうです。
そういえば、これを常飲しているせいこさん、超のつく甘党なのにスリムです。
里川ですっかり癒されて戻る途中、四万十川を渡りながら、その川の色の美しさに思わず車を停めました。
写真ではうまく撮れなかったけど、透き通るような翡翠色でした。
すぐ近くに見えている沈下橋は、『里川の沈下橋』と呼ばれているそうで、とても美しいと思いました。でも、何度も流されているそうで、今は美しい川ですが、水が増えると恐ろしいほどの水流になるようです。自然の力はすさまじいですね。
里川も、先人が山を切り開いてできた里。ある時は自然と闘い、ある時は自然に助けられ、いずれにしても自然と寄り添って生きてきた人々の里でした。
人間の生命力と意志の強さをつくづく感じた隠れの里訪問でした。
四万十川ほとりにあるharuさんが勤めるお店を今夜撮ってきました。
外にいても、にぎやかで陽気なお客さんたちの声が聞こえていました。せいこさんとharuさんの温かいもてなしに、地元のお客さんたちが喜んでいる声でした。
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